新井秀校長説教集21 ~行いをもって誠実に愛し合おう~

                 2020年4月8日(水)1学期始業礼拝

- 行いをもって誠実に愛し合おう -
『ヨハネの手紙 一』3:18

1 始業にあたって

新2年・新3年の生徒諸君、お早うございます!君たちの顔が見えないのは
残念ですが、放送を通して語り掛けることが出来る幸いを感じています。感染
拡大のために3月2日から自宅学習となり、そのまま春休みに入りましたので、1か月以上の長い休みになりました。久しぶりに友達に会えて嬉しいことでしょう。感染拡大は収まる気配がなく、日本でも「非常事態宣言」が出される程です。これからも自分に出来ることを確実におこなって、自分の身を守り、加害者になることも防ぎましょう。明日入学式があり、明後日から通常の授業に入ります。久しぶりの授業再開ですが緊張と期待をもって迎えましょう。

2 今年度の聖書の言葉

さて、今年度は先ほど読んでいただいた『ヨハネの手紙 一』の3章18節
の言葉「言葉や口先だけではなく、行いをもって誠実に愛し合おう」を目標と
して掲げました。困っている人を見たら喜んで手を差し伸べる優しい生徒であ
って欲しいとの願いからであります。

行いをもって誠実に愛した人の代表はイエス・キリストです。その良い模範に倣って、我々も喜んで愛の行為が出来る者でありたいと思います。8年程前、君たちの先輩がした愛の行為を紹介します。朝、藤田から福島に向う電車に数人の本校生が乗っていました。伊達駅に着いて降りる時、一人の生徒が隣の席に捨てられていたゴミを拾いました。伊達駅に降りた一人の夫人が、「あのごみをどうするんだろう?」と見ていました。生徒は駅備えつけのごみ箱にごみを入れ、学校に向って歩き出したそうです。「平気でごみを捨てる人間が多いのに、隣の席のごみを拾ってごみ箱にきちんと入れるなんて感心!」と後でこの女性から学校に電話がありました。素晴らしいですね。何気なくそっとする。素晴らしいと思います。皆さんもこの先輩に負けずに愛の行動をしてください。

仏教に「無財の七施」という教えがあります。お金を使わずに七つの施しが
出来るという教えです。その四番目が「身施」(しんせ)です。私の尊敬する松原泰道という禅宗のお坊さんが講演の中でこのような話をしています。「アニメ『ドラえもん』の声優として知られる大山のぶ代さんと対談をした時に、幼い頃のお話を伺いました。のぶ代さんのお母さんは非常に厳しい方で、小学生だったのぶ代さんに、毎朝学校に行く前に家の前の道路を掃除するように言いつけていたそうです。のぶ代さんは早く学校へ行って友だちと遊びたかったのだけれど、お母さんから『自分の家だけでなく、両隣の前も三尺ずつきれいに掃除をしておあげなさい』と厳しくしつけられたそうです。これが「身施」です。

ある日、のぶ代さんは朝寝坊をしてしまいました。でも、掃除をしないで急いで学校へ行けば、遅刻はしないで済みそうです。のぶ代さんは『今日だけはお掃除を勘弁してください』と泣いて頼みましたが、お母さんは許してくれませ
ん。そこでのぶ代さんは泣きべそをかきながら掃除道具をもって外へ出ると、
家の前がきれいになっています。夢ではないかとのぶ代さんがびっくりしてい
ると、隣のおばさんが『いつもあなたがきれいにしてくれているから、今日は
お礼に私がお掃除したのよ。だから早く学校へ行ってらっしゃい』とニコニコ
しています。のぶ代さんは本当に嬉しかったそうです」と。

どうですか?とても素敵な話ですね。毎日道路の掃き掃除をしていた小学生
ののぶ代さんも素晴らしいけど、それを毎日させたお母さんも素晴らしいし、
大ピンチを救ってくれた隣のおばさんの愛の行為も涙が出るくらい素敵です。

この1学期、君たちには今まで以上に勉強・部活・資格取得・生徒会活動な
どに頑張って欲しいですが、それ以上に今紹介したような愛の行為が自然にで
きる人になって欲しいと期待します。一日一日を大切に、愛をこめて過ごして
いきましょう!