2024年9月11日(木)
朝 の 説 教
- 人々はしるしを欲しがる - 『ルカ』11章29~32節
今日の聖書は、人々がイエス様に対して「あなたがキリスト(救い主・メシア)であるしるしを見せろ、証拠を見せろ」と要求したところです。そういう人々や社会に対してイエス様は、「今の時代の者たちはよこしまだ。邪悪だ」と批判しました。そして、ヨナのしるし、南の女王のしるし以外にしるしは与えられないと、二人の旧約聖書中の人物を例に挙げて話されたのでした。
第一の例は南の女王です。「シバの女王」として良く知られている人物です。シバとは今の中東、サウジアラビアかイエメンの辺りと思われます。彼女は噂でイスラエルのソロモン王の栄華と繁栄、更には知恵に溢れた人物であることを聞きました。是非一度会って、一体どれ程の知恵者なのか見届けたいと、沢山の土産物をラクダに積み、多くの従者を従えてイスラエルにやって来たのです。今から約3,000年前のことです。「シバの女王」は映画にもなり、作曲され演奏されもしました。ソロモンに会ってみると、想像を遥かに超える知恵者であり、その繁栄ぶりに驚嘆しました。この頃のソロモンは父ダビデの命に従い、神様を信じ神様の教えに忠実に従う王でした。だから繁栄と平和を築くことが出来ていたのです。聖書の『列王記上』3章にこうあります。「主はソロモンの夢枕に立ち、『何事でも願うがよい。あなたに与えよう』と言われた。それに対してソロモン王は『どうか、あなたの民を正しく裁き、善と悪を判断することができるように、この僕に聞き分ける心をお与えください』と答えました。主はソロモンの願いを喜び、こう言われました。『あなたは自分のために長命を求めず、富を求めず、また敵の命も求めることなく、訴えを正しく聞き分ける知恵を求めた。見よ、わたしはあなたの言葉に従って、今あなたに知恵に満ちた賢明な心を与える。あなたの先にも後にもあなたに並ぶ者はいない。わたしはまた、あなたの求めなかったもの、富と栄光を与える。生涯にわたってあなたと肩を並べる王は一人もいない。そして長寿をも恵もう』と告げるのです。こうして神様の祝福を一杯受けていたソロモン王にシバの女王は謁見したのでした。彼女はソロモン王こそ神に従う王だと知り、同時にソロモンの背後にいる神の存在を知ったのです。
イエス様は言うのです。ソロモンは知者であった。でもその知恵は神からプレゼントされたものである。そのソロモンに会ってシバの女王は神の存在を認めた。あなたたちは神の子であるわたしが目の前にいるのに、どうしてそれを見抜くことが出来ないのか!目は澄んでいないのか!濁ったままで見えないのか!と
第二はヨナです。今から2,300年程前の話です。預言者ヨナに神様の命令が下りました。「さあ、大いなるアッシリアの都ニネベに行って、わたしが語る言葉を告げよ。『あと40日もすれば、ニネベの都は滅びる』と。ヨナはニネベなど滅んでしまえばいいんだと思っていましたから、神様の命令に従いませんでしたが、神は無理矢理ヨナをニネベに遣わしました。ヨナの言葉を聞いたニネベの人々は、王様から庶民に至るまで荒布をまとい、悔い改めの断食をし、ひたすら神に赦しと救いを祈願したのでした。神は彼ら全員の悔い改めを御覧になり、思い直され、宣告した災いを下すのを止められたのでした。
預言者ヨナの言葉を聞いて、ニネベの人々は即刻自分たちの生き方を改め、神に立ち返ったのです。今、目の前に預言者ヨナに勝る神の子がいるというのに、どうしてあなたたちは、腰を低くし言葉に聞き従おうとしないのか。澄んだ目はないのか。目は濁ったままなのか!とイエス様は言われるのです。
このまま行くならば、裁きの時、あなたたちはソロモン王に謁見したシバの女王から裁かれるし、預言者ヨナの言葉で悔い改めたニネべの人々からも裁かれると言うのです。
わたし、イエス・キリストはソロモンにまさるもの、ヨナにまさるものなのだと言っているのです。どうしてそれが分からないのか。どうして素直にそれを認め、ひれ伏すことが出来ないのか、とイエス様は嘆き、問いかけているのが今日の聖書の箇所であります。