2021年4月20日(火)
朝 の 説 教
- バプテスマのヨハネの教え -
『マタイによる福音書』3章1~12節
今日は、1節に出て来る「洗礼者ヨハネ」という人のことを話します。
第一に話したいのは、彼の誕生の背景です。彼の父はザカリア、母はエリサベトと言いました。エリサベトは英語ではエリザベス。クイーン・エリザベスのように女性に好んで付けられる名前です。二人にはずっと子供がありませんでした。もう高齢になっていて、二人に子供が与えられる見込みは無かったのですが、神様の一方的な恵みによって与えられた男の子でした。両親は、この子ヨハネを神様にお返ししようと、「ナジル人」として育てました。ナジル人は、神にささげられた人で、お酒を一切飲まず、髪の毛を一度も切らず、質素で禁欲的な生活を送りました。洗礼者ヨハネが、「いなごと野蜜を食べ物としていた」
という記事から、そのことが容易に想像できます。
そのようにして大人になったヨハネが、突如、ヨルダン川の岸辺に現れ、「悔い改めよ。神の国は近づいた」と大声で教え、人々に悔い改めの洗礼を与えたのです。一気に「洗礼運動」に火が付き、我も我もと「人々がヨハネのもとに来て、ヨルダン川で彼から洗礼を受け」(6節)ました。しかも、当時のエリートであり指導者であったサドカイ派やパリサイ派の人まで、大勢洗礼を受けに来たのです。ヨハネは一躍、社会のヒーローにのし上がったような状態でした。
二番目に話したいのは、彼の教え「悔い改めよ。神の国は近づいた」についてです。「悔い改めよ」と訳されている言葉は、「人生の方向を180度変えろ」という意味です。価値観を完全に変えろ、罪から離れて神の前に正しい生活を送れ、ということです。そのために、ヨルダン川の水の中に全身を静めて、罪を洗い流す洗礼(バプテスマ)を授けました。今年の1年生が使っている宗教の教科書の15ページに、ヨハネが洗礼を授けていた場所の写真が載っています。
一年生は是非教科書15ページの写真を見てください。
ヨハネのもう一つの教えは、「天の国が近づいた」というものでした。「天の国」は、「天国」とも「神の国」とも呼ばれます。「自分の後にイエスという救い主が来られる。いや、もうお生まれになり、大人になり、すぐそこまで来ておられる。このイエス・キリストこそ神の国である。だからイエス・キリストを待ち望み、信じ、受け入れよ、と教えたのです。
三番目に話したいのは、ヨハネの徹底した謙遜さです。神に選ばれた人間であるヨハネは、人を外見で見ることはありませんでした。外見や服装や肩書で人を見るのではなく、心を見る人でした。上等な服を着たサドカイ人も、道徳家の服をまとったパリサイ人も、ヨハネから見れば罪人に過ぎませんでした。そんなヨハネでしたから、イエスがナザレの村から彼の元に来た時、いわば「大工の仕事場から直行したような」、「かんな屑が付いていたかもしれぬ」その衣服に決して欺かれませんでした。11節に、「わたしの後から来られる方は、わたしよりも優れておられる。わたしは、その履物をお脱がさせする値打ちもない」
と言い切っています。分際を弁えた見事な言葉です。洗礼者ヨハネの偉大さの一つは、実にこの謙遜さに見られます。
明日は、神の独り子であるイエス様が、洗礼者ヨハネから洗礼を受けるところです。期待して明日の聖書と説教を待ちましょう!