甲子園日記「2024夏 甲子園」最終回 ふたつの山 61期の「登頂」

高校野球にはふたつの山があります。

ひとつは日本一、すなわち選抜や夏の甲子園で優勝する、という山。

もちろんそれは聖光学院にとって、です。果てしなく高い、難しい山登り。

チームによっては、それが県大会の初戦突破であったり、ベスト8であったり、甲子園出場であったり。それは、それぞれでいいのだと思います。要するに、勝敗の結果としての「山」です。

もうひとつはチーム作りの山です。高校野球は毎年選手が変わります。その代によっていろいろな気質があります。様々な選手が集まり、その代その代の色があります。

昨日、甲子園の初戦で敗戦を喫し、ひとつの山登りが終わりました。勝敗の結果としての山は道半ばで・・・いや、まだまだ山登りの序盤で終わってしまいました。非常に無念です。

しかし、宿舎に帰ってからのミーティングで選手たちに問いました。

「あと1か月時間があったら、もっといいチームになっていたのか・・・?チーム作りという観点
からすれば、やり残しはあったのか」と。

選手からは間髪入れずに、「全く悔いはない」という返答が返ってきました。

学生スポーツには必ず「期限」があります。つまり「終わり」が決まっています。ゴールの時期が明確に決まっているのです。その終わりまでに、どこまでチームを作れるか。それはすべて自分たち次第です。だから、そこに落ち度があったなら、そもそも勝つ資格などない、甲子園には絶対に行くことはできない、というのが我々の考え方です。

そういう意味では、今年のチームは登頂に成功した、と言っていいと思います。正直、昨秋の段階ではあまりにもチームは未熟だった。あまりにもチーム作りに落ち度があり過ぎた。選抜に行くことなど、語ってはならない、勝ってはいけないチームといってもいい程でした。それほどチームは未熟で、バラバラでした。

今年の春の段階でも、やっぱりまだまだ。気づくのが遅すぎる。そう感じていました。春の県大会では、負けた方が夏に向かってはいいんじゃないか、と感じるほどに・・・。

しかし、春の東北大会の前後から、明らかにチームが変わり始めました。明らかに選手一人ひとりから「献身」の姿勢が見え始めました。「ああ、勝ってもいいチームになってきたな、勝たせてやりたいな」と我々も感じるようになってきた。

そうやって迎えたこの夏。他校にも他校の山登りがあって、それは比較するものではない。大切なことは自分たちが自分たちの山を登頂できたかということ。そういう意味では、この61期も自分たちの山は登りきってくれたかな、と思っています。

「このチームともっと一緒にいたいな」

そんなチームになってくれたこと、そんなチームを創り上げた61期生の選手一人ひとり。聖光野球部の歴史の1ページに、しっかりとその歩みを刻んでくれました。本当にありがとう。

今日で甲子園日記2024を終わります。読んでくださった皆様、聖光学院野球部を応援して頂いた皆様、本当にありがとうございました。この場をお借りして、心から御礼を申し上げます。聖光学院野球部は早速明日から新チームを始動させ、新たなスタートを切ります。引き続き、ご声援を頂けたなら幸いです。