野球部「2022 夏」甲子園日記 8月5日

甲子園日記 8月5日

 

2年前、甲子園中止という衝撃を味わい、その中で行われた代替大会で聖光学院は県大会、そして東北大会を制しました。我々は、甲子園が中止になっても、極めていつも通りの「夏」を戦いました。合言葉は「心の中の甲子園へ」。

聖光学院の目標は「甲子園」です。でも目的は「人間的な成長」という絶対的な柱があります。もし甲子園が中止になったことでモチベーションを失い、ただの思い出作りに終始した代替大会にしてしまったら・・・。目標だけでなく、目的まで失ったら高校野球をやってきた意味がない。当時の3年生は自分や仲間と向き合い、数々の自問自答を繰り返しながら、最後まで聖光学院における高校野球を全うし、そして優勝を果たしました。

 

代替大会の県大会決勝戦後の校歌斉唱時、当時の主将だった内山蓮希君(現東洋大)が号泣しました。後でその涙が「勝った喜び」ではなく、「勝ったのに、甲子園に行けない」という実感が込み上げたものだったと知りました。あの夏の切なさ、苦しさは我々指導者にとっても生涯忘れることのできないものであることに今も変わりはありません。

 

そして、今日。リハーサルとはいえ、3年ぶりに夏の聖地に聖光学院の選手たちが足を踏み入れました。昨日のミーティングでは、甲子園は戦いの場。でも明日のリハーサルだけは甲子園を全身で感じ、満喫してこい!と話しました。選抜を経験しているとはいえ、やはり夏は独特。勝った負けたも大切ですが、勝っても来ることができなかった先輩たちがいたことを決して忘れずに・・・。そして、聖地で「勝負」できる幸せを心から感じて欲しい、そう思います。

 

明日、たくさんの観衆が見守る中、聖光学院の選手が堂々と聖地を歩む姿を想像するだけで身震いが止まりません。いよいよ、「夏」が始まります!