戦いが終わりました。選手たちは果敢に立ち向かいましたが、最後は力尽きました。聖光学院60期生。59期生は赤堀颯主将を筆頭にしっかり者が多く長男気質。それに比べて60期はやんちゃ者が多くて次男気質。我々指導者側から言うと、非常に手のかかった世代でもありました。昨年からの流れで注目されたのは主将髙中一樹と4番三好元気。でも、チームのまとまりを欠いた下級生の時から苦労を重ねたのがBチーム時の主将久保竣奨と育成チームの主将小森光琉でした。久保は器用なタイプではありませんが、情熱がありチーム有数の努力家。チーム作りがうまく進まず、彼の涙を何回みたことか。彼には本当に苦労をかけ、申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです。
そして小森光琉。スーパーポジティブ男とも称される彼は、いつも笑顔を絶やさず、前向きな姿勢でチームを鼓舞してきました。今年の6月、主力選手たちが北海道に招待試合で遠征した時、小森を始めとする控え組は福島に残りました。この時グランドではBチームの試合が組まれていましたが、前日の雨でグランド整備が必要とみるや、起床時間前からグランドに出向き状態を確認。試合では小森ら3年生の控え選手が審判やボールパーソンを率先して行い、下級生の試合の運営をしてくれました。おそらく相手チームからは3年生が運営をしているとは思わなかったのではないでしょうか。それ程の素晴らしい姿勢で臨んでくれました。レギュラーだけでなく、そういった部員一人ひとりが聖光野球部の宝です。
高校生の部活動。それは聖光学院の野球部のみならず、福島県の球児はもとより様々な競技で夢を追い求め、努力を重ねている高校生がいます。そこにはレギュラーがいて、控えがいます。でも、どの生徒もこの3年間を自分の人生の礎とし、これからの人生を歩んでいきます。そこにどちらが立派なのか、などの差は一切ありません。
私は聖光学院を志す中学生に話す機会があった時にこう言います。「聖光学院に来たからといって甲子園に行けるか、君が試合に出られるかなんて約束できないよ。でも、ウチで高校野球を全うしたら、卒業する時に聖光に来て良かった、と思わせる自信だけはあるよ」と。
濃密な3年間。今年も3年生が大きく成長してくれたことが何よりも嬉しい。願わくば、控えの選手たちが「聖光に来て本当に良かった」、そう思っていてくれているのならば、指導者冥利に尽きます。
今年も多くの皆様にご支援・ご声援を頂きました。この場をお借りしまして、心より御礼を申し上げます。今後も、日々夢を追い求めて努力を重ねる高校生を温かく見守って頂ければと思います。ありがとうございました。