- 哀しみのどん底から -
『詩編』88編
今日の詩は出口が無いような、深い悲しみに満ちた詩です。イギリスの神学者カークパトリックは、「詩編150編の中でも、最も悲哀に満ちた詩である」と言っています。例えば、4節の「わたしの魂は苦難を味わい尽くし」や、5節・6節の「力を失った者とされ、汚れた者と見なされ」や、9節の「あなたはわたしから親しい者を遠ざけられました」などです。悲しみ苦しみの原因は何なのでしょうか?分かりませんが、「汚れた者とみなされ」や「わたしから親しい者を遠ざけられました」などから、この詩の作者は重い皮膚病に犯され、家族から捨てられ、友達からも捨てられ、哀しみのどん底にあるのだと想像することもできます。かすかな救いは14節の決意です。これは冒頭に「しかし」を入れるべきだと思います。「しかし主よ、わたしはあなたに叫びます。朝ごとに祈りは御前に向います」と書いています。たとえ苦しみ哀しみから逃れなくても、わたしは「祈り続けます」「希望を持ち続けます」との決意を述べているからです。